AIエージェントの便利さを体感するには、まず自分がやらせたい仕事を整理しながら小さく試すことが大切です。そこで役に立つのが「agents.md」。エージェントの目的やルール、成果物の例を一枚のMarkdownにまとめることで、ツールの種類が違っても共通の土台を持てます。

agents.mdとは?

agents.mdは「エージェントの取り扱い説明書」をデジタルメモとしてまとめるテンプレートです。以下のような情報を1ファイルに集約します。

  • 期待する役割:例)「ユーザーの議事録を下書きする秘書」
  • インプットの形:例)「Zoomの文字起こし」「タスクカード」
  • 成果物の例:例)「見出し付きMarkdown」「箇条書き提案」
  • 判断ルール:例)「専門用語は後ろに簡単な注釈をつける」

雛形を集めたサイト「agents.md」では、職種別やワークフロー別のagents.mdサンプルが公開されており、初めて書くときの着地点をイメージしやすくなります。気に入った構成を見つけたら自分のプロジェクト向けに名称やチェック項目を差し替え、テンプレートとしてコピーしておくと便利です。

これを整えると、新しいエージェントを試すたびに「今回の設定は何か」が一目で分かり、設定漏れや指示のぶれを減らせます。

使ってみる手順

  1. 目的を書く
    agents.mdの冒頭で「誰のどんな時間を短縮するか」を1行で表現します。曖昧なら、まずは「週次レポートの下書きを30分以内に作る」といった具体的なゴールにします。
  2. 素材を並べる
    サンプルの入力データや、うまくいった/いかなかった出力例を貼り付けます。エージェントは例を示すほど期待値に近づくため、最初は短くても構いません。
  3. チェックリストを作る
    文章トーン、禁止事項、最終確認フローなど、毎回口頭で伝えていた内容を箇条書きにします。agents.mdを見せれば新しいメンバーも同じ基準で試せます。
  4. エージェントに渡す
    使っているツールの「システムプロンプト」や「メモ」欄にagents.mdの内容を貼るか、ファイルを参照設定します。対応していないツールでも、ウィンドウにコピペして共有すれば十分効果があります。
  5. 差分を記録する
    改善点が出たら末尾に「Update」セクションを足して日付と変更理由を書きます。学習ノートのように履歴が残るので、あとから見直しても迷子になりません。

上級者はagents.mdをどう使う?

  • 複数エージェントのハブにする:要約用、ブレスト用、自動化用など役割ごとにagents.mdを分け、共通の「共用パーツ」セクションを作ると管理が楽になります。
  • 定量指標とひも付ける:KPIやSLAをagents.mdに書き、週次で「満たしたか」を記録。改善が数字で追えるため、投資対効果を説明しやすくなります。
  • ワークフロー図を差し込む:Mermaidや簡易図を埋め込み、エージェントがどこで人にバトンを渡すかを明確にします。オペレーションチームへの共有がスムーズになります。
  • プラグイン・外部ツールの権限リスト:「Google Driveは読み取りのみ」「Notionは特定データベースのみ」などを明文化し、権限の過剰付与を防ぎます。

さらに学ぶためのリソース

  • agents.md:さまざまなagents.mdテンプレートを閲覧・複製できるギャラリー。用途別の構成を比較しながら自分用の下書きを作れます。
  • OpenAI Assistants Overview:汎用エージェントを設計するときの基本発想がまとまっています。
  • Anthropic Agent Patterns:プロンプト構造や役割分担のヒントになる実例集。
  • LangChain Agentsガイド:ツール呼び出しを設計する際の考え方を学べます。コードを読まなくても概念図が参考になります。
  • AgentOps Blog:運用・監視・評価を改善するためのベストプラクティスがまとまっています。

今日からagents.mdを書き始めるだけで、どのAIエージェントでも「なぜ使うのか」「何を渡すのか」「どう改善するのか」がクリアになります。まずは手持ちのタスクで1枚作り、エージェントとのチーム作りを体験してみてください。